介護職に必要なコミュニケーション技術の基本&コツ

介護職のコミュニケーション
どうして、コミュニケーションが必要なの?

介護職にとって、コミュニケーションは必須スキル。基礎を学んでおくことは、とっても重要なことじゃ。

いつも友達や家族と十分にコミュニケーションしているつもりだけど…それだけじゃダメかな?

現場で信頼関係を築くためには、いつもより注意深く、表情や身ぶりにも意識を払わなければいけないんじゃ。

介護の世界では、コミュニケーションスキルが不可欠です。

利用者との人間関係、家族との人間関係、職員同士の人間関係など…すべて「ヒト」と「ヒト」との関係の中で成り立っています。

そのため、介護の仕事は「コミュニケーション能力さえあれば上手くいく!」といっても過言ではないでしょう。しかしながら、私たちは今まで、コミュニケーションについて専門的に学ぶ機会がありませんでした。

みなさんの中にも、人間関係の難しさに、アタマを抱えている人は多いのではないでしょうか?

そこで当記事では、他者と良好なコミュニケーションを築くためのポイントを紹介していきます。

では、さっそく見ていきましょう!

コミュニケーションとは?

コミュニケーションを一言でいうと、どういうこと?

意思や感情の「共有」。一方的なやり取りではなく、相手との情報交換によってお互いの理解が深まっていくんじゃ。

コミュニケーションには、「共通のものを他人と分かち合う」という意味があります。

伝達し合う、通じ合う、伝え合う、理解し合う、といった言葉に置換えてもよいでしょう。

介護スタッフに、どんなに優しい気持ちがあったとしても、その想いが相手に伝わり、相手の想いが返ってこなければ意味がありません。

コミュニケーションとは、相手の想いを受け止め、こちらの想いを返す、いわばキャッチボールのような行為。お互いがやり取りすることで、よりよい人間関係が育まれるのです。

コミュニケーションがもたらす効果とは?

①心の安定が得られる

ヒトは社会的動物です。

だれでも、周りから「自分を認めてもらえた」と実感できれば心が安定します。逆に、認められなければ不安定になってしまいます。

自分の存在を相手に受け入れてもらうという行為は、それだけ大きな意味を持っているのです。

ですから、現場では「あなたがそばにいてくれるだけでいい」というメッセージを伝え、相手の存在を認めることが大切です。

②脳が活性化する

現役を退いたお年寄りの多くは、人と会ったり、会話をしたりする機会がめっきり少なくなります。

そのため、脳への刺激が減ってしまい、みずからのアタマで物事を考える習慣を失いがちです。

コミュニケーションを図ることで、こうした人々の思考や感情に刺激を与え、心身の老化を遅らせる効果があります。

言語的コミュニケーションと非言語的コミュニケーション

コミュニケーションって、言葉だけで成立するの?

コミュニケーションには、言葉を用いる言語的コミュニケーションと、言葉以外の手段を用いる非言語的コミュニケーションの2つがあるんじゃ。

どっちが大切なの?

どっちもじゃ。効果的なコミュニケーションをおこなうためには、言語・非言語のメッセージを一致させることがポイントじゃ。

言語的コミュニケーションの特徴

コミュニケーションスキルを身につける際、あなたはどんな方法を思い浮かべましたか?

「早く会話で使える話題やネタを知りたい!」と考えた人も多いのではないでしょうか。

しかし、実際には言葉によるコミュニケーションはあまり重要ではない、という研究結果が出ています。

これは、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」といわれるもので、有名な法則なので聞いたことがある方も多いかもしれません。

メラビアンの報告によると、わたし達が何かを伝えようとするとき、言葉から7%、声の調子から38%、表情・姿勢・ジェスチャーから55%という割合で相手に伝わるとされています。

つまり、言語的コミュニケーションの占める割合はわずか7%に過ぎず、残りの93%は非言語的コミュニケーションが占める、ということです。

たとえば、利用者さんとのコミュニケーションで使える話題に「天気」「出身地」「時事ネタ」があります。

ただし、これらの話題について、ただ会話をするだけでは不十分。それよりも、話を終えて離れるときに、握手をするなり、肩を叩くなり、スキンシップすることのほうが何倍も重要なのです。

ほかにも、4〜5名いるところに、Aさんにだけ用事があって話をしにいったとします。そこでAさんの用事が済んだら、周りにいる人にも「最近、変わりない?」など声かけを忘れないようにします。

こうすることで、利用者さん同士でヤキモチを焼いてしまう心配もありません。

とくに認知症の方は、言葉で伝えようとしても分からない場面が多々あります。そのため、私たちは、どうしてもコミュニケーションに苦手意識をもってしまいがちです。

しかし、言葉で伝わるのがわずか7%ならば、非言語的コミュニケーションだけでも十分にコミュニケーションは成り立つはずです。そう考えると、認知症の方とのコミュニケーションは、けっして難しいものではないことが理解できるでしょう。

非言語的コミュニケーションの特徴

言語以外によるコミュニケーションを「非言語的コミュニケーション」と呼び、次のようなものがあげられます。

①話すときの距離

会話をする際、相手と信頼関係を築くための適切な距離があります。

たとえば、相手から離れすぎた場所で話をすると、自分が話した内容が相手に伝わったかどうか不安になったり、自分が遠くから独りごとを言っているような気分になったりします。

一方、相手に近付きすぎると、違和感や圧迫感、緊張感を与えてしまいます。

相手との適切な距離感を掴むことが、より良いコミュニケーションの第一歩です。

②話すときの態度

話すときの態度は、相手にも伝わるものです。

あなたが電話で会話するシーンを思い浮かべてみてください。

声の感じで、相手が一生懸命に話しているのか? それとも適当に話しをしているのか? 受話器の向こう側の態度がなんとなく見えてきますよね。

相手の話を聞くときは、「あなたの声を一生懸命に聞いてます」という態度が相手に伝わらないと、良好なコミュニケーションは取れません。

③姿勢・表情

どんな姿勢で、どんな表情で話すのかによって、相手が受ける印象は大きく変わります。

「人間のイメージは第一印象で決まる」と言われており、笑顔は人間関係を築くための基本です。

笑顔で話すことで、相手にポジティブな感情が伝わり、少なくとも敵意を持っていないことが伝わります。

④ジェスチャー

自分の話を伝えるためには、身振り手振りを加えることが大切です。必要に応じてジェスチャーを入れることで、話がより効果的に伝わります。

⑤声の調子・大きさ・明るさ・優しさ

たとえ全く同じ内容でも、どんな調子で話すかによって、相手に与える印象は変わってきます。

「そういう言い方はないでしょ」「モノの言い方には気をつけなさい」という注意を、私たちは幼い頃からよく耳にしていますが、介護の現場ではよりいっそう気をつけなければいけません。

とくに認知症の方には、ゆっくり、やさしく、そして声のボリュームを抑え気味に話すのがポイントです。

コミュニケーションを円滑にする5つのポイント

相手と上手にコミュンケーションを取るための5つのコツを紹介します!

①聞き上手であれ

「聞き上手」であることは、優れたコミュニケーションの絶対条件です。

聞き上手であるためには、傾聴すること。つまり、相手の立場になって心で聞く技術が求められます。

とくに認知症の高齢者の場合、自分の気持ちをそのまま言葉にしてくれるとは限りません。「言ってくれないと分からない」というスタンスでは、いつまで経っても相手との距離は縮まらないでしょう。

「本当に伝えたいことは何なのか?」「何をして欲しいと思っているのか?」を探り、感じ取ろうと意識することで、相手の本音も見えてきます。

②言わせ上手であれ

相手に「話しやすい人」と感じてもらうことも、重要な条件です。

言わせ上手であるためには、絶対に相手の話の腰を折らないこと。人が話してる最中に口をはさむと、相手は途中で話すのをやめてしまいます。

話をありのままに受け入れ、「そうなんですね」「それでどうなったの?」と促して、どんどん話をしてもらえる空気を作り出しましょう。

イチバン良くないのは、相手が話し終える前に「◯◯さんの言いたいことは、こういうことでしょ?」と先取りしてしまうこと。途中で「この人が言いたいことは、こういうことだな」とわかっても、最後までじっくり話を聞きましょう。

忙しいと、ついつい結論を先に言って、アドバイスまでしてしまうことがあるわ…。

相手が求めているとき以外、アドバイスは不要なんじゃ。

言わせ上手であるためには、”自分は多くを語らないこと”が大切なんだね!

そうじゃ。聞き上手も言わせ上手も、基本は”思いやりの心”。相手の立場になって、自分ならどうして欲しいかを考えてみると良いぞ。

③余裕のある態度

円滑なコミュニケーションを築くためには、聞き手の余裕のある態度が欠かせません。

仕事が忙しくなると、どうしても自己中心的な考えに陥ってしまいますが、相手を思いやる余裕を持ちましょう。

人生だって、余裕のある、広がりに満ちた人生のほうがいいですよね。

たとえば、利用者さんが「すいません」と声をかけたときに、忙しそうに去っていってしまったら相手はどのように感じるでしょうか?

バタバタしている職員を、わざわざつかまえて話をしようとは思いませんよね。常に余裕のある態度を見せないと、相手は心を開いてはくれません。

そして仕事に余裕を持つためには、自信が不可欠。自信がでてくると、おのずと余裕がうまれてきます。

たとえ本当に余裕が無い状況であっても、自信があるように振る舞ってみましょう。「どうしよう、どうしよう…」と不安を抱えながら仕事をするよりも気持ちがラクになるし、その余裕は利用者さんにも伝わります。

④思いやりの心

人と接するときに重要なのは、思いやりの心。

「そんなの当たり前じゃないか!」と思われる方もいるでしょう。しかし、心のどこかで「あなたはお世話されている人」「わたしはお世話してあげている人」という意識を持っていませんか?

介護はどうしても「してあげる」という思いにとらわれがちですが、そうした考えは禁物。介護者にほんの少しでも「やってあげる」という態度がみえると、相手に気を使わせてしまいます。

誰だって自分のことくらい自分でやったほうが、ずっとラクなのです。人の世話になることは、それだけでも大きな負い目になります。

その負い目に対して、追い打ちをかける態度をとってはなりません。「具合が悪いときはお互い様ですから」「そんなに気にしなくて大丈夫ですよ」など、相手に気を使わせないように接しましょう。

⑤相手を尊重する

相手を尊重することは、コミュニケーションを取るうえで欠かせません。

尊重とは、具体的には「問いかける」「承諾を得る」「お願いする」といった依頼的な態度のことです。

たとえば、相手に何かをしてもらいたい時、「◯◯◯しなさいよ!」と命令的な言い方をしてはなりません。それよりも、「◯◯していただけますか?」「◯◯◯したいと思いますが、協力していただけますか?」と伝えたほうが、相手に”わたしのことを大事に扱ってくれている”と感じてもらえます。

また、相手を尊重してほめることも重要です。ほめられることは、認めてもらえるのと同じこと。利用者さんも、みずから心を開いてくれるようになるでしょう。

そして、このように相手を尊重するためには、まずはあなた自身を大切にしなければいけません。上手くいっている自分も、上手くいかない自分も、好きな自分も、嫌いな自分も、全部ひっくるめて自分です。

自分のイヤな部分ばかりに目がいき、自分を責めてしまう人がいますが、そうすると他人に対しても、イヤば部分ばかり目がいくようになります。

自分ができている部分はしっかりと認め、自分に優しくすることによって、人にも優しくできるのです。

「あなたには✕✕✕ができていない」「あなたには✕✕✕が足りない」と指摘するよりも、「あなたには◯◯◯ができるのね!」「さらに◯◯◯ができればもっとスゴイね!」と相手を受け入れながらコミュニケーションが取れるようになれば、人間関係もスムーズにいくはずです。

自分を愛するほどにしか、他人のことは愛せません。介護に携わるなら、まずはあなた自身を大切に扱ってください。

そうすることで、利用者さんはもちろん、その家族、職場のスタッフのことも、今まで以上に大切に扱えるようになるでしょう。

まとめ

スキルやテクニックを身につければ、カンタンに信頼関係を築けるわけじゃないんですね!

そうじゃ。大切なのは、心を込めてコミュニケーションを図ること。スキルやテクニック頼みでは、本当の信頼関係を築くことはできないんじゃ。

わかりました!心の込もった温かなコミュニケーションを心がけます。

くれぐれも「笑顔」と「素直さ」を忘れるでないぞ。素直な気持ちで接すれば、心の声にも耳を傾けられる。その結果、相手の気持ちにも寄り添うことができるのじゃ。

いかがでしたか。

コミュニケーションにおいて、もっとも重要なことは「マインド」だということをご理解いただけたでしょうか?

もし今、コミュニケーションでお悩みであれば、「いつもあなたのことを心配しています」「あなたは一人ではないのですよ」「わたしはあなたのことを気にかけていますよ」というメッセージを、言葉や態度で発信しつづけてください。

そうすることで、相手は「わたしは一人ではないのだ」ということを実感してくれるはずです。利用者さんに生きる勇気と希望を持ってもらえるような「心のケア」を提供することが、介護者の役目です。

コミニュケーションに正解はありません。ただし、やってはいけないことはあります。

それをよく考えたうえで、あなたらしいコミュニケーションを築いていきましょう。